大根は一年中店頭に並んでいますが、一番おいしいのは晩秋から初冬にかけての時期。
なので、俳句の世界では大根は冬の季語。
「歳時記」にも詳しく載っていて、「中央アジア原産とみられるアブラナ科の二年草」から始まり「主に地下の多汁・多肉質の長大な根を食べるが、葉も食べられる」とつづく。
まだ解説文は続くから、「歳時記」の担当者は相当の大根好きをみた。
そして、ここにもいた、大根好きが。
作者は谷口ジローさんと『孤独のグルメ』を共著した漫画家久住昌之さん。
その大根愛たるは相当なもので、この絵本一冊、まるまる大根づくしなのである。
大根を人間にたとえると「まじめでおとなしい感じ」とあります。
色白だし。まっすぐで姿勢もいいし。
でも、大根の料理といえば、その数は数えきれないほど。
まずは大根おろし。しかもこれは色んな料理と合います。
サンマにも添い寝しますし、たまご焼きにも。
うーん、節操がない。(なんだか東海林さだおさん風になってきた)
生ではサラダ、煮てもいい。
大根は相手の味を引き立てるだけで、自分はでしゃばらない。
大根に見習わないといけないことばかり。
料理の話ばかりではない。
「大根役者」の語源とか主だった品種といったまじめな(料理もまじめでしたが)話もちゃんと描かれている。
こんなおいしい大根の絵本を本屋さんだけで売るのはもったいない。
ぜひ八百屋さんでも売って欲しいもの。
そうしたら、今夜はおでんという家が増えそうだ。