表紙の絵からどんなに王様が娘を愛しているかが伝わってくる絵本です。高い塔の上に立ちお姫様は何を見ているのでしょう・・・。(これは、中の話の1場面なのですが、それだけでなく、色々なことを暗示しているようにも見えます。)こんなところに立つことが出来るのも、後ろからお父さんにしっかり支えてもらっているからですね。
そして、次のページ(お話に入る前のページ)にはバラの絵が広がります。こんな所も、心憎い絵本ですね。
瀬田貞二さんの滑らかな訳と地味な配色の中にしっかりと描かれたホフマンの絵が、このお話を格調高く、それでいてやさしく語りかけてくれるようです。
壁にとまったハエ、わすれものをした小僧の耳をひっぱって頭をぶとうとしている料理番、屋根の上のハト、それらがみんなそのまま、眠ってしまい、その様子も大げさでなく、さりげなく心憎い配置で描かれています。
最後に登場するジャンボケーキもとても美味しそうです。
他にも色々絵本が出ていて、それなりに素敵なものもありますし私も他にも持っていますが、これは、お薦めのピカイチです。