有名なグリム童話ですが、
絵本化した中で丁寧な絵として是非おすすめします。
国王夫妻に待望の娘が生まれたのですが、
祝宴に招けなかった占い師の恨みを買い、
15になった娘は100年の眠りへ。
この絵本については『絵本のよろこび』(松居直:著 NHK出版)に
詳しく解説してあって、それに惹かれて手に取りました。
注目は、ホフマンさんの絵が語る物語。
文章と共鳴しながら、読者をお話の中に誘うさまざまな技巧が駆使されています。
姫に寄り添うような猫の仕草がその状況を語ります。
余白の使い方、あるいは全面が細密なリトグラフ版画など、
見所はたくさんあります。
何といっても注目は料理番に小突かれていた小僧の帽子。
眠った直後にはかぶっていたのに、
100年後王子がやってきた時には茨に引っかかっているのです。
これは松居さんが気になってホフマンさんに尋ねたところ、
予想通り、ただ一つだけ眠らずに生きていた100年間の茨の成長を表現されていたとのこと。
細部を味わえる上質の絵本だと思います。