1975年に日本で初版が出ている作品の文庫版です。
タイトルは知っていましたが、読んだのは初めてです。
「しずくの首飾り」ほか、
「足ふきの上にすわったネコ」
「空のかけらをいれてやいたパイ」
「ジャネットはだれとあそんだか」
「三人の旅人たち」
「パン屋のネコ」
「たまごからかえった家」
「魔法のかけぶとん」
が入っています。
「しずくの首飾り」もとても印象的で面白かったですが、
好みとしては、「三人の旅人たち」……大きな砂漠の真ん中にある駅を守っている3人の駅員たちが、休暇を取ってそれぞれ別々のところへ旅に出た話と、
「たまごからかえった家」……世界を旅している4人のウィービルズが、ニワトリの足のような家に住んでいるおばあさんからある難題をこなすと……って、話がダントツで面白かったです。(このおばあさんは、ヨーロッパの昔話によく登場するババヤガーまたはバーバ・ヤガーがモデルでしょうね)
どのお話も昔話によくあるような繰り返しが使われているので、読み手は物語の世界に入りやすいです。
それから、例えば「北風」が具象化されて人間になっていたり、「空のかけら」が入ったパイが空を飛び始めたりする奇想天外な設定が、「そんなのもありか」と思わせてくれる描写なので、とても楽しく読めました。
岩波少年文庫のお薦めの学年は3,4年生以上となっています。一つ一つのお話はとても短いので、機会があったらブックトークなどで紹介していきたいと思っています。