読み聞かせ仲間で、この本が好きで好きでたまらないっ!という人が二人います。二人とも、シルベスターのぬいぐるみ(ひっくり返すと石になるもの)を持っていて、嬉しそうに見せてくれました。
そんな彼女達の情熱に推されて、読んでみました。
絵が飄々としていてさらっと描いてあるようですが、内容はなかなか深いものでした。
魔法の小石なんて見つけてしまうと、普通は大喜びなのですが、このお話では、あっけなく魔法の楽しさは終わってしまいます。それも、石になった為に魔法の小石に触ることができないという単純だけど、とても重要な理由で。
ここに魔法の落とし穴があって、簡単に願いが叶うなんて事ないんだよ、と言われているような気がします。
そして、その後シルベスターが石になっている期間のなんて長いこと!それでも、両親はシルベスターを忘れずに探し続けます。
親というのは、時間とともに世間が忘れ去っても、決して我が子のことは忘れず、あきらめないものなのです。シルベスターを想う気持ちや失った悲しみが、やはり親である私にひしひしと伝わってきました。
そして、再会の時は唐突に訪れます。
やはりほんの偶然で魔法が起こり、シルべスターは元の姿に戻りますが、子どもを思う気持ちは、魔法さえ呼び寄せるのかもしれません。
お話は結構淡々と進んでいくのですが、シルベスターの気持ちや両親の気持ちがよく伝わってきます。魔法の落とし穴や、気づかずに親が魔法を解いてしまうことなど、考えてみると、あまり他にはない系統の本かもしれません。