もみの木は、クリスマスツリーになるのが夢でした。
山で育ちながらひたすらに望んでいたのですね。
貨物列車に乗って街に行くもみの木たちは憧れだったのでしょう。
だから、自ら根を抜いてまでも、自分で歩いてでも街に向かおうとしたのです。
クリスマスツリーになれなかったもみの木は、しょんぼりと元の場所に帰ります。
また元のように、根を大地に沈めます。
けれど、もみの木はこれが幸せだと解らなくてはいけませんね。
クリスマスツリーは、その役を終えたらもう大地には戻れないのです。
森の仲間たちに祝福されて、山でのクリスマスツリーになれたもみの木は、本当は幸せなのです。
自分の根を足にして野山を駆けるもみの木が、滑稽でもあり、哀れでもありました。
生きていてこそ幸せ?