1823年12月23日に、ニューヨークのある新聞社に投稿されたクリスマスの詩。
作者のクレメント・C・ムーアが自分の子供のために書いたもので、公表の意思はなかったものの、友人があまりの素晴らしさに感銘して内緒で投稿した曰くつきの作品です。
今回の作品の絵は、ターシャ・テューダーが1980年の邦訳初版の絵を、1999年の全面的に書き直したもの。
初版の方が良かったという声が多かったので、探したのですが、これは見つけられませんでした。
流石に、他の古典作品と異なり、サンタクロースは赤の服で描かれています。
因みに、サンタクロースのイメージは、1931年にコカ・コーラ社が自社のコーポレートカラーの赤と白に合ったサンタクロースを宣伝キャラクターとして起用したことから世界中に定着したとされており、それ以前は、色々な服を着たサンタが存在していたようです。
クレメント・C・ムーアの詩を元にした絵本は、邦訳されたものも多々あります。
1902年 ウィリアム・W・デンスロウ、1912年 ジェシー・W・スミス、最近では、リスベート・ツヴェルガーや、仕掛け絵本でニルート・ブタビバット等、実に沢山の作品が邦訳されています。
今回、読み比べをしているのですが、この絵本が良いのは、やはりターシャ・テューダーの絵が美しいということ。
楕円の額縁の中に描かれた絵は、ターシャ・テューダーならではの写実に基本的なもので、実にクリスマスに相応しいものだと思います。
一寸気になったのは、邦訳。
英文のように、小気味良いリズム感溢れる文章にしたかったのだと思いますが、日本語に置き換えた際の違和感が如実に出てしまっています。
とても難しい作業だとは思うのですが、勿体無い感がしてなりません。
五ッ星にしたいところですが、邦訳の部分がマイナスなので、四ッ星の評価としました。