人は皆、思い出という風船を持っています。
その風船は年を重ねるごとに増えていきますが、ある病気にかかると、次第に減ってゆくのです。
その病気とは、認知症です。
この絵本の主人公である「ぼく」は、おじいちゃんに、
「あの黄色の風船の思い出を話してよ」
と言います。
すると、いつもおじいちゃんは、
「ずっとずっと昔……」
と話して聞かせてくれます。
でも最近は、同じ話ばかりをしたり、持っていた風船を離してしまったりするのです。
悲しみにくれる「ぼく」。
その「ぼく」のことさえ、おじいちゃんは忘れてしまいました。
「ぼく」は、おじいちゃんの認知症をどのように受け入れて、そして行動するでしょうか?
この絵本は、いつか訪れるかもしれない家族の認知症のことを、やわらかな文章と優しい色の風船で教えてくれます。