アルメニアの民話を素材に作られた作品ということで興味を持ち読みました。
薪拾いに夢中なおばあさんのミルクを飲み干してしまったきつねが、おばあさんにしっぽを切られ、それを取り返すまでのお話です。
ミルクを返せとおばあさんに言われたきつねが、牛にミルクを乞いに行くと「草をくれたら・・・」といわれ、原っぱは「みずをくれたら」といい、小川は「水差しをもってきたらね」と、お話は終わりの無いように延々と読者ときつねをドキドキハラハラさせてくれます。
中でも涙ぐましいのは、きつねの説明。
積み上げ歌のように、お話の後ろのほうへ行くごとに説明が増えていき、読み手は笑いつつもちょっとキツイ、かも(笑)。
こういうスタイルのお話は、かつて幾つか出会った事がありますが、この作品は、やはりしっぽをもとどおり丁寧に縫いつけてもらうというエンディングが魅力的です。
大人は最初からドキリとしますが、子どもは意外にあっさり受け入れお話に入っていけそうです。
そして、この めでたしめでたし ですからうけると思います。
読まれる方は、少々覚悟を(笑)。
おばあさんの服装、特にスカーフの巻き方にもアルメニアの風土を感じとることができました。