韓国(朝鮮半島)では、虎が出てくる昔話が最も多いそうです。このお話も、最近のものですが、古き良き昔語り風になっています。
ある男が森で、穴に落ちていた虎を助けたら、その虎が腹ごしらえにと、男を食べようとします。
ところはそんな失敬な話はないと、松の木や牛に裁判官になってもらって話を聞いてもらいますが、「人間はひどい生き物だらか、虎の言い分が正しい」と、言われてしまいます。
このシーンは同じ人間として、ハッとさせられました。
ところが、最後に来たウサギの機転で、男は虎から逃れることができて、めでたし、めでたし。となります。
残念なのが、このラストシーン。なぜ、ウサギがこの男の見方をしてくれたのか、その理由がまったくわからないんです。このエピソードがどこかに描かれていたら、この絵本はもっともっと面白いものになっていたような気がします。
ハン・テヒさんのイラストも、味があってよかったです。