表紙の絵が意味深です。
羊飼いの輪郭の中に描かれた、羊飼いの営み。
以外にも、裏表紙は、狼の輪郭の中に描かれた、狼の営み。
冒頭語られる作者の前書きが、この作品に込められた意図を重々しく語ります。
表紙から前半は、羊飼いのモノローグが続きます。
それは、山への思い、そして、同じく生きるものへの思い。
裏表紙からは、まったく同じ文章で、狼のモノローグ。
それらが出会う真ん中のシーンは、共存、でしょうか。
鏡面のような位置関係も、その関係性を浮かび上がらせます。
訳出は谷川俊太郎さん。
詩人の持つ感性が研ぎ澄まされているように感じます。
小学生くらいから大人まで、「生きる」視点を感じてほしいです。