五歳になる豆太は、本当におくびょう者で、いまだに、夜中、ひとりでトイレにも行けないのです。
必ず、一緒に寝ているじさまを起こします。なんといっても怖いのが、小屋のすぐ前に立っている、でっかいでっかいモチモチの木。
しもつき二十日(はつか)の晩に、モチモチの木に灯がともる。それを見ることができるのは勇気のある子どもだけ。その話を聞いても、豆太にとっては他人事でした。
滝平二郎さんの描く切り絵の世界に圧倒されました。モチモチの木のとっても恐ろしい様子を表したかと思えば、優しく触れる手の動きまで、見事に表しています。
人間として、大事なことはなんであるのかを、しっかりと教えてくれました。
子どもの頃、自分で読んだ時、とっても長いお話のような気がしたのですが、大人になって読み返すとそうでもありませんでした。読んでもらったとしたら、もっと違った印象で、心に残っていたような気がします。