文なし絵本なだけに、イマジネーションがどこまでも膨らんでいく絵本だと思います。
海岸でふとひろった水中カメラ。
入っていたフィルムを現像してみたら出てきた不思議な世界。機械でできた魚、人魚、次々と海の中の不思議な世界が写っている。だれが撮ったのでしょう。
いろんな生物によってカメラが海の中を次々と移動していく。
写真の世界と、イメージの世界がからみ合って見る人の想像力をかき立てます。
そして、もう一つ現れた人物写真。写真の中に写真があって、その写真の中にも写真があって、すっと辿っていくとカメラを手にした人間が判る仕組み。
いろんな国をたずね歩いたのだと判ります。
この少年、自分も記念撮影してカメラを海に戻します。
そしてまたカメラが旅をしていく。
絵の中にちょっと富士山の描かれた浮世絵調の絵が一枚あるのも楽しい。
見直すたびに新たな発見があるような絵本です。
どうしてこの少年は顕微鏡や双眼鏡,虫メガネを持って海にいたのでしょうか?
見ていくとカラクリがあるんですね。
顕微鏡や双眼鏡がなければ人物をたどれなかった。
ただ、この絵本言葉がないだけに、英語と日本語表示に直された部分があって、少し違和感をおぼえました。
すべて原作通りでも違和感なく楽しめる絵本だと思いました。