絵といい、文章といいとても軽快。読んでいて楽しくなります。語りが今風で、読む子にはウケそうです。
ただ、あまり軽い文章を読み聞かせなれていない自分には、いまいちリズムにのれなくて、盛り上げどころで舌が空回り。多少ため口なれしていると良いかも。
あるところに王冠もようのあざがある男の子が生まれた。それを知った王様が、親をだまして川に投げ捨てる。
助けられて成長していた事を知った、王様は殺せと書いた手紙をマルコと名づけられた男に城に届けさせる。
手紙がすり替えられて、姫と結婚することになったことを知った王様は、悪魔の毛を3本持ってこいと難題を命じる。
本当に悪魔の毛を持ち帰り、おまけに宝物まで目にした王様は、マルコの言葉を信じて地獄に行き、川の渡し守になってしまう。
これってめでたしめでたし?
悪いのは王様だと思うけど、マルコの持ち帰った宝物を見て、普通の人間になっちゃったね。
次の悪知恵を思いつかなかったんだもの。
お姫さまは、王様がいなくなってどうなんだろう。
主人公のマルコは、かわいそうだけど、これだけ運のいいヤツってそういない。
幸せになって良かったね。
でも、お姫様のお父さんをだまして渡し守にしてしまったんだから、王様の次に悪いのかもしれない。
それにしても…。
タイトルの「あいててて!」は何だったんだろう。
表紙の絵を見て、悪魔との対決がメインテーマかと思った私は見事にだまされた。
最後の絵で、渡し守となった王様が舟に乗せているのは悪魔。その悪魔が鏡など見てけっこうナルシスト。
考えるといろいろな事がちりばめられていて、読み返すたびに大人も楽しめる絵本の一級品です。
子ども達も、あれこれ理屈で考えず、夏の子ども映画を楽しむ感覚で、大いにウケてくれると思います。