1988年のコールデコット賞受賞作品。
ジョン・ショーエンヘール/文、ジェイン・ヨーレン /絵によるもの。
舞台は北米の農場で、ジェイン・ヨーレンのもののようです。
主人公の女の子は、ずっとずっと待っていました。
待っていたのは、父さんと一緒にみみずくを探しに行くという行為。
兄さん達から聞かされていて、首を長くして待っていたことが実現する喜びに満ちた書き出しで始まります。
音をたてたらみみずくに会えないと、父さんの後を静かに黙々と歩く女の子の姿に、どれだけこの日を待ち望んだのかが伝わってきます。
何としても、みみずくに会いたいという真摯な気持ちに、誰しもが心うたれるのではないでしょうか?
そんな女の子のみみずくに出会うまでの数時間の物語なのですが、誰しもが惹き込まれること間違いありません。
何と言ってもこの絵本が素晴らしいのは、この女の子の貴重な体験を絵本を通じて自らが体感できるということ。
それは、自然を敬う二人が成せる技で、厳しい自然の中で実際に体験しているからこそ、これだけ迫真を持って読者に語り掛けが出来るのでしょう。
その絵の構図が抜群です。
月夜に照らされた父さんと女の子が歩く森の奥深さや、最初のみみずくとの出会いのシーンなんて、計算し尽くせない臨場感に溢れたものです。
それに添えられた抒情詩のような文章は、女の子の無垢な心情を絶妙に語り、五感に訴えてきます。
絵と文の相性は、最高のコンビネーションで、見るものを大自然へと誘ってくれることでしょう。
工藤直子の訳も、読み聞かせに相応しい美しい日本語で語られています。
小学校の教科書に採用されたのも頷ける、不朽の名作というに相応しい作品です。
是非、一度は読み聞かせして欲しい作品としてオススメします。