数や大きさの大小の概念というのは、すべての物事を考える基礎になると思うのですが、学校で習う算数では、意外にそこのところがおろそかなまま、公式的なものに突入していきますよね。算数セットという「数や形や大きさ」を体感できる優れた道具がありながら、ほとんど使われることなく、子ども達が、教科書という平面で、疑問を積み残したまま、年を重ねていくのはもったいないなあ、と感じています。
しかし、平面でありながら、この絵本は、魅力的な表現で、大小の概念を展開していきます。ゾウやライオンや馬といった、子どもにとってわかりやすい「大きなもの」が、1ページ目から、既に小さい(笑)。そして次々と、大きなものが小さくなっていくわけなのですが、その小さくなる描き方が可愛らしくユーモラスで、エベレストが地球のヒゲになっている絵なんて、もう、とっても好きです。
「たいようサイズのオレンジ100こ、あつあつのおいしさ」なんていう表現もツボ。限られた絵本の枠の中に、アイディアいっぱいです。だから、少し大きい子が、題名を聞いた途端に、宇宙という回答を用意してしまったとしても、この本は、次は何が出てくるのか、どんなふうなのかという興味をそらしません。
人間は、自分より小さいもの弱いものを認識することで(あの人より私の方がましだわ、みたいな)プライドを保つというような格言を、どこかで聞いたことがありますが、それでは、思い上がりの愚かな未来になってしまうでしょう。自らを卑下したり、矮小化するということではなく、「・・・より大きいもの」は、無限であり未知なのだと、心を広げていくことが、人間を豊かにし、地球を円やかにし、宇宙の未来を明るくするのだろうなあ、と思いました。