この作品は、”Willie’s Adventures”という作品に収められた3編のひとつ”Willie’s Walk”をもとに創られたお話と但し書にあります。
作は、マーガレット・ワイズ・ブラウン。
実に1944年の作品です。
そして、絵は、林 明子さん。
この二人の作品ですから、外れのはずがありません。
それにしても、凄いコラボレーションだと思います。
電話が鳴っているシーンから物語は始まります。
1984年の初版本ですから、ダイヤル式の懐かしい電話ですが、主人公のぼくが電話に出ます。
相手は、おばあちゃんで、ぼくにひとりで来るようにとのお誘いの内容。
行き方は、とにかくぼくの家の前の道を、真っ直ぐに行くというもの。
ぼくは、直ぐに真っ直ぐ歩き始めます。
物を知らないぼくは、目にするものが全て新鮮。
直ぐに田舎道になり、花とか野イチゴや蝶に出会います。
小川を渡り、丘を越えると、家らしきものに到着します。
でも、そこは馬小屋。
次の家らしきものは、犬小屋。
その次の家らしきものは、ミツバチの巣箱。
何とかミツバチから逃げて、やっとのことでおばあちゃんの家に到着するのです。
ぼくは、日本人に見えるのですが、町並みが南欧のような感じで、おばあちゃんも洋風な趣がします。
ケーキを二人で食するシーンで終わるのですが、そのアメリカンサイズのケーキや、巨大なコップは、どう見ても日本らしくなく、国籍不明という感がありました。
でも、林明子さんならではの、優しい絵は、見るものの心を掴んで離さないはず。
おそらく、同年代のお子さんだと、感情移入してしまって、手に汗握るストーリーに興奮してしまうのではないでしょうか?
最初にぼくが電話を取るシーンの壁には、おばあちゃんの絵が飾られていたり、裏表紙には、ぼくがケーキをほお張るシーンがあったりと、小技も光ります。
何より凄いのは、その絵の余白の使い方。
実にバランス良く、白い余白に文章がある構図は、計算し尽くされたものだと思います。
ぼくの一人称で書かれた文章は短く、読みきかせし易い作品で、幼稚園位までのお子さんにオススメします。