第二次世界大戦の空襲で両親を亡くし、戦後の混乱期をたった一人で生きてきた戦争孤児、山田清一郎さんの人生が物語になっています。現在進行中のロシアとウクライナの戦争も頭をよぎりながら、やるせない気持ちで読みました。
読み終えた今、たいへんなご苦労の中、強く生き抜いてこられた清一郎さんに敬意を表します。そして、清一郎さんのように、今、落ち着いた暮らしをされている人も辛かった記憶は忘れることはできない。更に あとがきのナナシさんのように孤児だった頃と同じ暮らしを続けている方が今なお いらっしゃる。令和の今も、戦争の傷痕は深く残っていることを社会で共有しなければと思いました。
地味な本なので、子どもたちが自ら手に取って読むことは おそらく少ないと思います。まず大人の方が読んで、平和学習や夏休みの機会に 身近な子どもたちに薦められたら良いと思う本でした。対象は 小学校高学年から中学生くらい。子どもが主人公なので感情移入しやすいし 読みやすい文章です。