小さな息子に読み聞かせてみましたが、ピッツの愛らしくひたむきな姿には、むしろ大人になった今の私の方がキュッと胸を締め付けられる気がしました。それは、子供だった自分よりずっとか弱くて小さな生き物との初めての出会いを思い起こすからかもしれません。
私は読みながら、いつしか子供時代をずっと一緒に過ごした黒猫のロミオを思い出していました。大人になり家を出た私がたまに実家に戻った時は、当たり前のように膝の上に乗ってきて、丸くなって眠っていました。あの体温がふんわりと戻ってきたように思えて、今はもういないロミオを思い、ちょっぴり切なく、温かい気持ちになりました。
「とりしゃん、きれいね」とピッツを指さす2歳の息子が、もう少し大きくなったら、私のお友達のロミオのお話もしてあげようと思います。きっと、お母さんになったまあちゃんの赤ちゃんも、大きくなったらピッツのお話を聞かせてもらえますね。
小さな生き物と育つというのはなんて素敵なできごとなんだろうと思います。