タイトルは知っていましたが
どんなお話かは全く知りませんでした。
絵本をめくった表紙の裏に
作者の言葉が書いてありました。
どこへも向けようのない怒り!として
長文でこのお話を作った経緯がかかれていました。
チロヌップとはアイヌ語できつねの意味だそうです。
作中では島の名前として使われています。
この島にいるきつね一家と初老、
またきつねと戦争のお話ともいえます。
この島に来た初老は
魚をとったり、海苔をとったりします。
島にあるむすめ地蔵の横に小さなきつねが1匹。
赤いリボンをつけてあげて、一緒に過ごします。
一旦帰った初老は小さなきつねを放してやりました。
その後です。
戦争のせいできつねの親子は殺されてしまいます。
それが釈然としません。
生き物をわざわざ殺す必要はあったんでしょうか。
お父さんきつねはみんなのおとりになり死に
お母さんは足に傷を負い、
小さいきつねはワナに足を挟まれました。
もうワナは外せないので
お母さんは食糧を運んだりしました。
降り積もる雪が残酷で
お母さんきつねと小さなきつねは
寄り添ってそのまま死んでしまいました。
春になってあの夫婦がまたきましたが、
戦争が終わるまで島にはきてませんでした。
あれから何年も経っているので
かなり老けていました。
きつねざくらという花がたくさん咲いています。
あの親子がいた場所を囲むように咲いています。
一つだけ赤いリボンのように赤く咲いています。
ただただ悲しいお話です。