今も実家に大事においてもらっている、思い出の本です。
雨がふりはじめて、お父さんを駅まで迎えにいく主人公の女の子。なかなかお父さんが現れなくて不安はつのり、乗り換えの駅までつれてってあげるというネコについていって不思議な車両に乗って...。
雨の日の夕方という設定からか、くすんだ色調のさし絵のせいか、それとも感受性の豊かな子供時代に思い入れを持って読んだ本だったからか、主人公の不安な心や心臓のどきどきいう音が耳にまで響くような緊張感がいまでも伝わってくるように感じてしまいます。
そして、いかに緊張していて不安な時でも、子供の心は正直で、すごく不思議なものやおもしろいものに出会うと一気に気持ちのベクトルがそちらに向いてしまうということを鮮やかに描いた「動物専用の車両」のシーンが素晴らしいなと思います。
今は子供にひとりでお迎えにいかせるなんてとんでもない時代になってしまい、また、お父さんが今どこにいるかも携帯ですぐわかってしまうかもしれないですが、それでも私にとっては娘にもぜひ聞いてもらいたい、読んでもらいたい絵本です。