ヴァイオレットという名前も、紫色で描かれる世界も、紫色のテーブルも、不安感と悲しみでいっぱいです。
その象徴性から、強いメッセージを感じました。
かつては家族みんなの憩いの場所で、共有空間だった場所が、それぞれが自分の世界にこもるようになって見向きもされなくなっていきました。
そして小さく小さくなって。ついに消えてしまいます。
テーブルは、ヴァイオレットという女の子自身です。
この孤独感、存在感をそのままにしていたら、家族の一人がいなくなってしまうような恐怖感さえ感じられました。
コロナ時代を象徴する絵本になっています。
この絵本では、もう一度家族みんなでテーブルを作ろうとするところから、色彩を帯びていきます。
家族みんながもう一度出会う場所として、テーブルが完成します。
ヴァイオレットも、もう紫色ではありません。
家族の大切さを改めて痛感させてくれました。