実業之日本社「こども世界の民話」に収められているお話「やぎとライオン」を絵本にしたもののようです。「こども世界の民話」と同じ内田莉莎子さんが文章を書いています。文章だけを比べると殆ど同じです。
それだけに、気になるのが、終盤ライオンが家を飛び出す際ヤギに言ったセリフです。
というのも、「子ども…」では、「やぎくん、しつれい。ちょっと、うちのやつらを、さがしにいってくるよ。ゆっくり、やすんでいてくれたまえ。」とあるのに、この絵本では、「ヤギくん、しつれい。どうぞゆっくりしていたまえ」とあるだけです。
この場面に行くまでに、ライオンが雨の中、妻や息子を外に出した理由が、最後のこのライオンのセリフで明らかになる(自分が逃げる口実だった。そうか!と合点が行く)というのに、なぜこの大事な箇所を抜いてしまったのか、とっても疑問が残りました。
絵本全体、挿絵が文章を補ってはいるものの、この場面に関しては、挿絵がそこまで(なぜ家族を外に出したのか)語っているようには見えませんでした。
このお話自体は楽しくて好きなのですが…、その点がどうしても残念に思われました。