映画が公開されたこともあって読んでみたくなりました。
中学に入ってから学校に行けなくなったまい。まいは母方の祖母の家で暮らすことになります。
古き良き時代の暮らしを守って暮らす祖母はターシャ・テューダーを思わせますし、祖母と孫という関係のお話ということで、幸田文の「きもの」思い出しました。「きもの」の主人公・るつ子もまい同様に感受性が鋭い少女であるからです。
母が祖母にまいを「感受性が鋭すぎる」「昔から扱いにくい子」「生きていきにくいタイプの子」と表現しているのを聞いてしまうまい。
読みながら、それは読んでいる私にも当てはまるように思え、ドキッとさせられました。
子どもにとって自分と向き合ってくれる他者の存在が重要であることを改めて思いました。
一番身近な両親がその他者であるのが一番望ましいことなのかもしれませんが、実際そういう恵まれた親子関係というのは難しいもの。
子どもとじっくりと向き合うゆっくりとした時間の中で生きている祖母という存在が、それにはふさわしいのかもしれません。
西の魔女とは、祖母のことでまいは祖母の元で魔女修業をします。魔女修業とは意志の力を強くすること、きちんとした日常生活を送ることなどで、特別なことではないのですが、日々の暮らしの中での楽しみを見つけて生きるということは、現在では簡単なようで実は難しいことなのかもしれないとも思いました。
穏やかで静かな暮らしの中で生きる力を身につけていくまい。そんな暮らしの中でも心がざわざわとすることもあるのですが、そのまいにあるがままを無条件の愛をそそぐ祖母。それがとても素敵で、ラストでは思わず泣いてしまいました。
子どもが愛情がほしい時にその子がほしい愛情を与えられる魔女。そんな魔女に私もなりたいなと思いました。