毎日同じ朝が来るはずだった。仲良しのくまとことり。
ある日突然それが途絶えた。ことりは逝ってしまった。
くまは悲しくて悲しくてことりを箱に入れて花で飾って持ち歩く。
その箱の中身を見た森の仲間は必ず言う。
「つらいだろうけど、わすれなくちゃ」
その言葉に傷つき、誰とも口をきかなくなったくま。
ある日出会った山猫にくまは心を癒される。
悲しみの底にいる人をなぐさめるのは難しい。
誰も決してその人を傷つけようとは思っていないはず。
でも言葉を間違えると心に鍵をかけてしまう。
やまねこの発した言葉はインクの吸い取り紙のようにくまの悲しみを
吸い取ってくれた。
こんな風に生きたいです。ふんわりやさしい春の風。
そんな存在になりたいです。
MOE絵本屋さん大賞第一位であり、酒井駒子さんの絵だったので
絶対読みたいと思っていました。
酒井さんの絵はモノクロにもかかわらず、暖かみを感じます。
この作品もほんの少しのピンクがくまの愛、やまねこの優しさを
充分引き出しています。