牛のフェルジナンドは花の匂いが大好き。他の牛たちはみなマドリードの闘牛場で勇ましく闘うことを夢見ているのに、フェルジナンドだけはいつも木の下にのんびり腰を下ろし花の匂いを楽しんでいました。ある日、闘牛用の牛を探しに男たちがやってきたときのこと。たまたまフェルジナンドはお尻を蜂にさされて大騒ぎ。男たちは暴れまわるフェルジナンドを見て、闘牛にもってこいの牛を探したと大喜びします。フェルジナンドはさっそくマドリードへ連れて行かれました…。
わたし自身、とても元気付けられた作品です。「自分自身でいていいんだよ、自然でいることが一番」とあらためて教えてもらえました。これは自分に対して。
お話の途中でフェルジナンドのお母さんが登場します。(もちろん牛ですが、)実にこのお母さんが偉い! フェルジナンドの性格を100%理解し、花の好きな彼のことを見守ってあげるのです。理想の親像を示してもらったような気持ちがしました。そんなわけで息子よりもわたしの方が、感心しながら読みました。こんなに素敵な名作があったのですね。初版は1936年。当時のスペインの田園風景や街並みも伝えられ、この国の文化価値にも触れることができたと思います。