何といっても、サリーがブルーベリーをばけつに入れる「ポリン・ポロン・ポルン!」、小熊がブルーベリーを食べる「むちゃむちゃ、ごっくり!」など擬態語の面白さが娘を魅了しています。この場面になると、娘は必ず音を繰り返して確認。ベリーを3つぶ食べる場面では3つ食べるまね、4つぶ食べる場面では4つ食べるまね。小さな子どものささやかな楽しみを、北米の自然を背景に描写した作品です。
これはもうブルーベリー摘みに行かないわけには行きません。ブルーベリーは触れるだけでポロポロとこぼれるように採れるので、小さな子どもにはもってこいのベリーです。(近所に野生のブラックベリーの茂みがあるのですが、こっちは棘がいっぱいなので、こうはいきません。)夏はベリーの季節。イチゴにはじまり、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、ボイゼンベリー、マリオンベリーなどなど、市場にはたくさんの種類のベリーが並ぶので、サリーのことを話題にしながら足を運ぼうなどと考えました。ジャム作りもいいですよね。(米国にはペクチンとベリーを混ぜて冷凍するだけで簡単にジャムの作れるレシピがあって、びっくり仰天でした。話がそれました……。)
お話は、お母さんと一緒にそれぞれブルーベリー摘みに出かけたサリーと小熊が途中、お母さんを取り違えてしまうというおかしさを交えて展開します。とても面白い発想なので、こういう魅力的なプロットを伴うときはお話の長さはもう少し短くてもいいかも。小さな子どもが主人公の割には長いお話です。
それにしても、わたしはこの「こけもも」という訳が気に入っています。イラストはブルーベリーの色らしく、濃い青で単色。文字はセピアっぽい茶色。体裁は地味ですが、暖かい気持ちにさせられる作品です。表紙裏のサリーの家のキッチン、ダイニングの風景がまた素敵ですよ。カレンダーは8月になっています。