我が家の子供たちも、ぼくとクッキーのような別れを二度、体験しています。転勤先の札幌に行った時、そして故郷である大阪に帰って来た時。だから、このお話しは、クッキーの方に感情移入して読みました。
いつもは「さよならまたね」と言えるのに、「さよなら」としか言えなかったクッキーの気持ち。ぼくのうちに引越しを伝えに来て、家の外で泣いているクッキーと、クッキーのお母さんの気持ち。絵を見ているだけで、過ぎ去った日の別れがフラッシュバックしてきて、とても切なくなります。
最後に渡されるぼくからクッキーへの思いの詰まった手紙。「遠く離れても、会おうと思う気持ちがあれば、きっとまた会えるよ」絵本の中のクッキーに思わず話しかけている私がいました。
娘は黙って一気に読み進め、ひとこと、「この本いいね」とつぶやきました。きっと、娘なりに思い出すことがあるんだろうな、と思います。
短い文章の中に、思いが凝縮された絵本です。絵だけが描かれているページがより多くの言葉を語っているような気がします。
引越しを経験された方、ぜひ読んでみて下さい。