鉛筆デッサン画による作品です。文字はありません。
車の窓からポイッと投げ捨てられた、犬の姿。
それは、まるでゴミのように・・・。
犬は、捨てられたこともわからず、ご主人を追いかけます。
やがて、車に追いつけないことを悟ると、彷徨う犬。
描かれている犬の姿が、どれをみても躍動感があり、心情が伺えて、
どうするんだろう、どうなるんだろう、と絵から目を離せませんでした。
やがて、一人の子どもと出会う犬。
戸惑いつつも子どもに近寄る犬の姿を見て、良かったね!と思うと
同時に、人に捨てられたのに、人を嫌いになれない犬の姿に、
これで良かったのだろうか、と思わずにはいられませんでした。
捨てられた時から犬にはずっと首輪が描かれていたように思ったのですが、
最後のページに描かれた犬には、首輪はありません。
個人的に、それは以前の飼い主から犬が解放されたというイメージと重なり、
最後に出会った子どもは、一生心通い合う相手であることを
願わずにはいられません。
身勝手な人間の姿。そして、一途な犬の姿が描かれた、心に残る作品です。