空を飛ぶ夢というのは、結構見ることが多いらしい。
知らべると、その夢には「何ものにも束縛されずに自由に生きたいという思いが潜んでいることが多い」とか「今より高見を目指したい」といった願望があるそうだ。
若い頃よく見たが、年を重ねてきてまったく見ないのは「高見を目指す」ことも「自由になる」こともなくなったからかもしれないとしたら、少し寂しい。
この絵本のまこと君は、ある晩飛ぶ夢を見た。
次の朝、いい天気だったので、まこと君は本当に空が飛べるような気になって、試してみた。
すると、本当に空に浮かんだ。
大事なのは、「いい天気」だってこと。
だって、いくら空を飛ぶ夢を見ても、次の日が大雨だったり曇っていたら、空を飛びたいなんて思わない。
「いい天気」だったから、まこと君は空が飛べそうに思ったんだ。
空に飛びだしたまこと君は、飛ぶことの初心者だったから、はじめは上手に飛べなかったんだけど、そのうちにどんどんうまくなっていく。
そう、まるで昔見た「ピーターパン」みたいなように。
しばしの空中散歩を楽しんだまこと君は友達のあこちゃんに「どうやったらそらをとべるの?」と聞かれて、ちゃんと「そらをとぶゆめをみればいい」と教えてあげるんだから、優しい。
もっともあこちゃんがうまく空を飛ぶ夢を見れるかどうかわからないけどね。
和田誠さんの絵のやわらかさが、この絵本によく似合ってます。