大人のための絵本選び、絵本を通してのものの見方について考えさせられる本だと思います。
先に絵本選びの感覚で読んだ本ですが、収録されている絵本のいくつかを読んでから再読したらこの本が単に絵本紹介ではないことを再確認しました。
柳田邦男さんは事実を見る目、事実の考え方等社会への視点をしっかりもった者の書き方をする作家です。
あるいは自身が実生活の中で苦痛を克服してきた経験が、道徳観念についても強い観念を持っている方だと思います。
その柳田さんが絵本に対して感動とか安らぎとか、「涙」というカテゴリーの中でいくつかに区分けして、自分の絵本体験と自分の思いをつづられています。
掲載された絵本を読んでいると、柳田さんのとらえ方と自分の感想とを比較することができました。
感じ方に正解はないと思いますが、柳田さんの文章は自分の絵本探しに指針を作ってくれているようです。
後半の月々一定の金額を絵本のために投資することを自分に課するという発想も面白いかと思いました。(義務感につながると楽しさから離れてしまいますけどね)。
文章の中に顔を出す読み聞かせ会合のエピソードも親しみを感じました。
この本は初心者向けではないかもしれませんが、絵本好きの人には収穫のある解説書だと思います。