この作品のタイトルは知っていたものの、初めて読んでみました。
容姿がみにくいというだけで嫌われ、名前を改名しろ!と強制されてしまう、
可哀想なよだかという鳥のお話。
結末はタイトルにあるように「星」になってしまうのですが・・・
いや、「星になれて良かったね」と言うべきか。それぐらい、
よだかの置かれているポジションは、辛いものでした。
悪いことをしていないのに、追いつめられていくよだかの姿に、
心を痛めずにはいられませんでした。まるで、いじめを黙認して
しまったかのような心苦しさを覚えました。
今で言えば、よだかのそれは「個性」として尊重すべき部分なのだと思います。
夜、活動するよだかにとってその容姿は、生きていくために必要な個性だったはず。
神様からいただいた容姿、名前。それを否定することは、誰にも出来るはずはないのに。
子ども達が読んだらきっと、いじめのことを考える良いきっかけになる、
そんな内容の作品です。
余談ですが・・・私が子どもの頃は、夜遅くまで起きていると親から
「よだかみたいに、いつまで起きてるの!」とか「うちの子は、よだかで〜」
なんて、言われてました(岩手出身です)。
その時はよくわからなかったのですが、きっとこの作品のことがあっての、
そういう発言だったのかなと思うと、今更ながら、賢治作品が普段の生活に
浸透していたことに気付き、驚いています。
心に残る作品になることは間違いないです。
よだかが綺麗な光になれたことだけが救いでした。