2人の子どもの冒険を描いた絵本です。表紙では、窓からジャイアントがのぞいているのですが、このジャイアント、不思議に全然怖くないのです。とっても愛嬌があるジャイアントなのです。
2人が家のゲートをくぐるとそこは、なんとすべてのものが大きいジャイアントの世界。大きな魚がいたり、大きなバックが落ちていたり。2人は興味津々で夢中になって遊んでいますが、森の中にひそんで、2人を狙っているジャイアントには、気付きません。
結局、2人はジャイアントに捕まえられて、洞穴の中へ閉じ込められてしまいます。
洞穴の中は、魔物がいっぱい。この間にもエリック・カールのしかけはいっぱい。お風呂の横にある鏡には、ジャイアントのセリフまで鏡写しになっていたり、ジャイアントが「はらぺこあおむし」の絵本を読んでいたり。なんだかエリック・カールの遊び心が伺えます。
でも2人は、一生懸命逃げるものの、結局ジャイアントにつかまってしまいました。ジャイアントに食べられてしまったかと思ったら、そこはもとの自分の家の前。お母さんとお父さんが温かい笑顔で迎えてくれるのでした。2人の行方をずっと見守っているお日さまも「よかったねえ。」と声をかけてくれます。
このお話は2人の夢だったのでしょうか。お父さんが釣ってきた魚は、あのジャイアントの家の庭にいたものにそっくりだし。おとうさんの下げているかばんも庭に落ちていたおおきなかばんにそっくり。その答えは、みんなが寝静まった家の傍らで、りんごを加えてにやりと笑っている黒猫だけが知っているのでしょうか。
文章は、会話のみなので、とても短く小さな子どもでも楽しむことが出来るでしょう。文章が短いからこそ、年齢が大きくなるにつれて、それぞれ自分の想像力を膨らませて、この絵本の中で冒険ができるはずです。幅広い年齢層で楽しめる絵本だと思います。