私が『3びきのかわいいおおかみ』を5年生の教室で読んだ日に、友人が6年生の教室でこの本を読みました。全くの偶然なのですが、その日『3びきのこぶた』のパロディー版が飛び交った高学年でした。
さて、この本の内容は、ちょっとブラック・ユーモアです。絵もタッチは優しいのに、色使いがダークなので、陰があってちょっと怖い感じがします。
『3びきのこぶた』では、おおかみは完全なワルモノになっていますが、どうも実際は違うらしい。このお話は、「ワルモノってことになってるんだけど、事実はかなり違うんだよね」というおおかみの告白文になっています。
レンガのこぶたなど、本家では英雄ですが、この本では、ちらっと窓から覗いている顔が物凄く恐ろしく、悪人顔です。
それに比べておおかみは、かなりかわいらしくとぼけた顔をしていています。おおかみの側からという別の側面から見ると、事実は180度変わってしまうのです。これは、かなり怖いことですよね。
『3びきのこぶた』のパロディー版がいくつも出ているということは、あの話に疑問を持っている人が多かったのでしょうか。
新しい視点は新鮮ですが、ちょっとブラック度がきついような感じもして、私としては面白いと思うまではいきませんでした。
どきっとするような内容や絵の箇所もありますので、低学年以下には不向きでしょう。
読むのなら高学年からだと思います。