どんな本でも、読み終えたと同時に必ず「もう1回!」と、せがむ娘が、この本に限って、次の日も、そのまた次の日も、2度と「読んで」とは言わないまま、今日に至っています。いつもなら、少なくとも、数十回は繰り返し読み、各ページ10行以下の本なら、数日でほとんど暗唱してしまうほどなのに、どうしてだろう?と、考えてしまいました。そして、思い当たったのが、☆3つ以下の評価をされたみなさんと同じ理由・・・親の私が「お勉強をさせよう」という心で読んでしまったからなのですね。娘は、デジタルの時計なら、分まで正確に読むことができ、アナログの時計は、この本と同じレベルの「〜はん」までわかるので、つい「わかって当然でしょ」という心が出て、「いまなんじ?」「どっちがほんとう?」「なんじかわかる?」という質問形式の文章を読んでいるうちに、いつのまにか、テスト問題を出しているような気持ちになり、正確に読ませようとする力みに変わって、子どもに絵本を読む楽しさよりも、プレッシャーを与えてしまう結果になってしまったのだと思います。本当に、親の読み方と、親の心次第で、子どもを絵本好きにも、絵本嫌いにもしてしまうんだな、ということを、身をもって実感しました。これまでに、何百冊と読み聞かせをしてきましたが、こんなことは初めてで、自分にとっても、もう1度初心に返るための、よい経験になりました。本自体は、とてもわかりやすく、時計の読み方を学習するのに役立つものだと思います。
1ヵ月後、「えほんおじさん」の読み聞かせポイントの一文に出会い、肩の力がすっかり抜けた翌日、もう1度この本を引っ張り出してきて読んでみました。・・・「教えようとしたり、説明しようとする必要はありません。物語絵本のように、何回も読んであげるだけでいいです。きっと、すぐに、子どもは時計がよめるようになることでしょう。」
娘は、大きな声で時間を読み上げました。時計を読めるのが嬉しくて、嬉しくてたまらない、といった様子で。私も1ページごとに、いっぱい、いっぱいほめてあげました。