先日、この本の原画を見る機会がありました。何度も見なれている絵本に比べて、原画の色は深みがありました。表紙のタイトルの飾り模様は、今ならばコンピュータで描くことができるかもしれませんが、この本はもちろん手書きです。絵本ではみすごしていた、そんな細かい線まで気がつくことができました。夜の場面の点描などためいきがでるほど丁寧にえがかれていました。町が開発されていくにつれ、人々の動きも前のめりぎみになっているところなど、こちらまで気ぜわしくなってくるようなリアルさがありました。もちろんこれは私が何度もこの絵本を見ていたから、いろいろ感じることができたのであって、本の内容を知らなければなにも感じなかったでしょう。普段はあまり気づかないのですが本が出来上がるまでには、作者だけではなく、本を製作する人、出版社など多くのひとの思いがこめられているのだな、と思いました。原画を見たことで、絵本のすばらしさを改めて感じることができました。