へびに驚いて、土手を転がり落ちてしまった絵里子の怪我をあっというまに施療したおじいさん、鍼灸師の甲田先生。この甲田先生のおかげで、絵里子が悩んでいる母の再婚を反対する気持ちも少しず和らいでいきます。
この絵里子にとって、まったく関わりがなく、そしておじいちゃんと呼んで良いほどの年齢の幸田先生が、なぜ絵里子に影響を与えたのでしょうか。
今回の絵里子のように、親の再婚の話は、自分の抱えている悩みをどうすれば良いのかわかりません。当事者に聞くことはできないし、親類もまた同じ。そんなとき、「甲田先生」が登場してくれるとありがたい。
まったく関係のない第三者の大人の意見を聞かせてくれたり、相談に乗ってくれたりと、父親や母親にはできないことができるからです。こういった「斜めの関係」となる人が、子どもに何人かいてくれると安心なのですが、昔と違ってそれが簡単にいかないのが実情です。
もちろん、自分のおじいちゃん、おばあちゃんでも良いでしょう。きっと孫のことを一生懸命考えてくれるはずですから。町内会のおやじたちでも良い。同じ学校の保護者でもいい。小さな家族という枠を超えた関係を作っていくことが大人の役割ではないでしょうか。
『わたしのワンピース』の西巻茅子さんが、挿絵を書いています。絵本とはまた違った面を見せてくれていて、うれしくなりました。