阿部夏丸さんの低学年向けの読物は、寓話的というのか考えさせられるものが多いような気がします。
言葉をもたない動物たちが、ことのはまつりというお祭りで、ことのはを手にすることで、自分の伝えたい気持ちを伝えられることになります。
そんな時にはどんな言葉を相手に伝えたいと思うでしょうか。
言葉があることで正確に気持ちが伝わるかといえばそうでもなく、相手をおもんぱかる気持ちがなければ、言葉によって傷つけてしまうこともあるでしょう。
動物たちのやりとりの中で、気持ちのいい言葉の交換であれば、それはそれで素晴しいんだろうなあと思いつつ、言葉の難しさも同時に感じるのです。
分量も少なく低学年向け読み物ではありますが、高学年の子どもが読んでも今使っている言葉について深く考える機会が得られそうなそんな感じがしました。