絵の美しさ、そして数の不思議、さらに痛快な気分を味わえる絵本です。
ラーニは、ほんのささかやな ご褒美をお願いしただけ。力づくでも、無理難題を押し付けたわけでもありません。だって王さまは、「もっと気前よく褒美をとらせたいものだ」と 言っているくらいなのですから・・(笑)
王さまの悪の心に切り込むのは、数の理。倍の倍の倍の倍・・・がいかにすごいか知らなかった王さまの米蔵は、とんでもない事態に陥っていきます。ですが、文句のつけようがないのです。「数の理」の前では王さまは無力で、ただ見ていることしか できませんでした。
膨れ上がっていくお米の数は、数字ではピンとこなくても、絵によって一目瞭然。たった一粒から始まったのに、すごい、本当にすごい。見開き4ページいっぱいに描かれた たくさんの象がお米を運んでいる場面は圧巻です!
ラー二は本当に賢いです。そして、王さまも とことん極悪人という訳ではなく、倍々に増えていくお米を正直に(?)運ばせ、最後には 賢くて正しい行いをする人になった というところが良かったです。インドの細密画を取り入れて描かれたという絵はエキゾチックで、独特の雰囲気を醸し出していました。