こどものとも年中向き 2003年11月号(福音館書店)を再販したもの。
大砲を持っている王様は、大砲を打ちたくて仕方ありません。
そんなとき、川でキツネが王様の大好物のピンクの魚を食べているという報告が入ります。
王様は、キツネを追い払うため大砲を使うことができて大満足。
でも、ここから、王様とキツネの大きな大砲を作る競争が始まるのです。
だんだん大きくなる大砲、次のページをめくるのが楽しみになります。
大砲の大きさ競争に敗れた王様は、大砲の数の多さ、形の面白さ、軽さなどでキツネに勝負を挑みますが、ことごとく負けてしまいます。
なぜ?という種明かしは、なるほどと頷けるもの。
最後のオチも、平和的なもので、ストーリーとして極めて秀逸な作品です。
大砲の大きさを競うというところは、軍拡を思わせるものです。
深読みすると、戦争というテーマまでも伝えたかったとも思えますが、単純にストーリー展開を楽しむことだけでも、充分満足できる作品です。
しかも、絵が細かい作りこみをしています。
大砲を作っているときに、さぼっている家来がいたり、王様を盾にしている家来がいたりして、絵そのものも楽しめます。
幼少だけでなく、小学生も対象に幅広い層に読んで欲しい作品です。