2010年読書感想文コンクール高学年の部課題図書。
ページ数は少ないですが、時空を超えるかのような歴史ロマンを感じる作品です。
300年ほど前の唐招提寺金堂が舞台。
見習い大工の少年ヤスは、軒下のあたりで異変を感じます。
すみ鬼と呼ばれる木彫りの鬼が泣いているのです。
その訳を聞き、身の上を知ったヤスは、その鬼の願いを聞き届け、
一緒に鬼の世界を垣間見るのです。
平成の大修理で解体された金堂の部品が展示された際、
柱を支える四隅の木彫りの鬼、「すみ鬼」の表情に興味を持ち、
ストーリーが膨らんだそうです。
なるほど、とても説得力のある説です。
ヤスの姿を通して、宮大工の様子もうかがえ、木の香りまで体感するようでした。
鬼の様子も、喜怒哀楽があり、親しみがわきます。
鬼たちの世界もスリリングでいて、愉快で。
様々な仏像にも興味がわきます。
唐招提寺金堂を訪れたくなりました。
歴史好きならたまらない読後感でしょうね。