レオニ作品は難解な一面もありますが、だからこそ心に響くものがあり、
何よりコラージュのネズミが大好きで、よく手に取ります。
昨年(2010年)はレオニ生誕100年で、
こちらの絵本はそれに合わせて発刊されたようです。
(作品自体は1992年のものです)
主人公の街ネズミ、ティモシーは、
ある日突然、山高帽を被った人間のような姿になってしまいます。
鏡を見てパニックになり、街を逃げ出すのですが、
ティモシーは現実を受け入れ、前に進もうとします。
幸いしっぽだけはそのまま残っていたので、
野ネズミ達に「ネズミだ」と分かってもらえ、
仲間になるため“野ネズミ免許”を取るべくテストを受けるのですが・・・
・・・というお話。
テストの合否でなく、勇気を讃えられて仲間入りする様子に、
みんなと同じであることより、一番大切なのは“心”なんだ、と感じました。
訳者の谷川さんは、この作品を
“都会と田舎の間に未だに存在するギャップ”と読み解いておられます。
それを踏まえて再読すると、また違ったものが感じられ、とても参考になりました。