タイトルは、本の要。
この冴え渡る表紙を創っているのは、翻訳者の卓越だ。
うろん:胡乱。
うさん臭いの「う」、うろつくの「う」である。
舞台じみた登場人物の姿と、時代じみた言葉の掲示。
時は1957年、幕開けから客席に座った気分にさせてくれる。
「うろんな客」をさぁ、とくとご覧あれ、というゴーリーのあの
見世物小屋的性分が淡々と表現されている。
しかしどうもその小屋が、ナゾ解きか?と知れると、笑みが漏れる。
害のない内容だ、けれどどこまでも黒く描き込まれた絵。
その不安定がいつものゴーリーな空気を作り出している。
どうしても自らを省みる・・・、彼の術にはまり込む、
感謝も忘れて。