長崎源之助さんは、平和のための作品を数多く書いています。
この作品もその中の一つですが、おじいさんと子どもの目からみた広島を通して、おじいさんの過去の恋心に共感し、おじいさんの過去と平和への祈りを引き継ぐ子どもの思いが描かれています。
京都から広島へ引っ越した弘。
そこで不思議な女の子と出会います。
戦時中に広島に引っ越したユリちゃん。
引っ越し先も知らず、あの原爆で死んだことも知らず、おじいさんになってしまった一郎。ユリちゃんは一郎への思いをもったまま50年間もさまよっていたのです。
それが、ユリちゃんがおじいさんに出せずにいた手紙へとつながります。
原爆の悲惨さの理解へと自分たちをいざないながら、戦後の50年が終わりました。
そしてそれから15年過ぎました。
それでもこの物語の鮮度は落ちていないと思います。