タイトルに思いあたるふしが私にもあります。
「なんでぼくだけ」の短編が、山のようにつもりにつもった家族の絵本です。まるでTVドラマを見るように、ページを繰るごと話題も変わります。ゆめゆめ軽い気持でお父さん、お母さん、読んではいけません。子どもはある時期を境に、父と母とを鏡にして成長するのですからね。
「ぼく」を人の子として読み始めるのですが、気付くと「ぼく」はいつの間にか私になっていました。大人と呼ばれるひとになって、どれくらい時間が過ぎたのかはわかりませんが、「ぼく」と私の直感力はさほど変わっていないような気がします。大人たちは、大人のふりをしなければならなくなって、「ぼく」をはやく大人の仲間にしたいのです。面倒でなくなりますからね。でも家族はちがうのです。どれだけ時間が過ぎようとも、「ぼく」は「ぼく」のままですから。
家族で読みたい絵本です、イラストも素敵です。感謝。