夏休みの初日に誘拐された小学5年生のハル。
誘拐したのはハルのお父さん。
別居中の父でもあり、珍道中が繰り広げられるのですが、11歳の女の子からみた父親って別世界の生き物なのでしょうか?
しょっちゅう母親に「交渉」の電話を続ける父親ですが、「交渉」はまとまらず金に困った父のために二人は次第に食事にも寝泊まりにも窮していきます。
夫婦の間にどんな問題があるのかは明らかにされませんが、ハルは二人の子どもです。
金にゆとりのない父のため二人は次第に寝泊まりにも窮していきます。
平穏な生活であれば、明らかに娘が拒絶するシチュエーションでしょう。
冷静に父親を見ながら、他人ではないものを感じていく様がとても柔らかく描かれています。
等身大の父親を認めるとき、何となくハルの成長があるのでしょうか。
「交渉」が成立して、ハルはまた母親の許に帰り父は娘に別れを告げます。
文章に深刻さはないけれど、振り返ると角田さんの作品は奥が深いと思います。
児童文学ではあるけれど、父親として読み終えた自分でした。