シルヴァスタインの名作『おおきな木』は息子の親として心に響く作品ですが、村上春樹さんの新訳を手にして、本田錦一郎さんの訳を読みなおすことにしました。
比べてみると村上さんの優しさきめの細かさが浮かび上がります。
子どもを思う親、子どものために身を削り、自分を与えそれでもしあわせだといえる、モチーフに違いはないのですが、本田さんの訳は朴訥で男性的。子どもを育てるのって大変だな〜と思ったものです。
村上さんの訳は滑らかでしっとりしています。
本田さんの訳に比べて大変そうな感じが少ない。
本田さんの木が父親ならば、村上さんの木は母親。
切られても子どもを支えているのに、苦しさは感じていないようにも思えました。
視点が本田さんの訳よりも至近距離にある感じ。
改めてこの作品の深みと、翻訳の深みを感じました。