「おおきな木」は以前に、ほんだきんいちろう訳で読んだことがありました。
今回、村上春樹訳が出版されたと知り気になり手に取りました。
以前読んだのは、大学生の頃だったと思います。
その時「おおきな木」を読んだ印象は、見てはいけないものを見てしまったような、残酷なものを知ってしまったような、「ドキリ」とする複雑な気持ちになりました。
木が、切り株になってしまったことに一番ショックを受けたのだと思います。
今回も、この本を読んでショックを受けるのかと思い恐る恐る読み進めました。
しかし今回は、とてもあたたかく穏やかな感動があり、「ドキリ」とは正反対の「ホッ」という気持ちになりました。
結末を知っていて、身構えて読んだから「ホッ」とできたのではなく、自分自身が変わったから、こういう気持ちになったんだと思います。
以前に読んだ頃は進路もはっきりせず、不安が多い日々でした。自分のことで精一杯!その頃は、木に共感できなかったのだと思います。「切り株になってまで、幸せだなんて、ありえない!そんなのキレイごとだ。」というような。
しかし今は母親になり、木にとても共感できます。どんな姿になったっていい。それは関係ない。誰かのためになれることが、とても幸せ。木が、ほんとうに幸せだったんだ。ハッピーエンドの本なんだ、と思えたことで「ホッ」とできたのだと思います。
自分の今の状況によって、感じ方がこんなに変わるのかと驚いた1冊です。また、自分自身もいつの間にかずいぶん変わったんだな...と気づかされ、絵本の凄さを再確認させられました。ぜひ、購入して手元においておきたいと思います。自分が女性なので、木も女性的な村上春樹訳を選びたいと思っています。
次に本を開くときは、どんな印象を持つのでしょう...