暗い気持ちが吹き飛び、春のそよ風を感じられる絵本でした。見返しのピンクと花、そして虫の色彩にうっとり。頁をめくると、花瓶に差した一枝の桜。そこにハチがとまり、春の生命を感じさせてくれます。戦後で暗い時代のおはなしだけれども、絵や文章から、子どもたちのたくましさが感じられます。そして、苦しい生活の中、子どもたちに、温かく接するおかあさん。桜の木とおじいさんのところに導いてくれる子猫。
太陽に向かって輝く一輪のピンクの花。頁をめくると…。
元気を取り戻したおかあさん。そして、表紙の絵へと繋がっていきます。
おじいさんの言葉「このこたちが 冬じゅうがんばったんでのう。それで かれずに すんだんじゃよ。けっして あきらめちゃならん」が心の深いところに届きました。