青山南さんの訳だったので読んでみました。
ダン・ヤッカリーノ、ベネディクト・ブラスウェイト、「もしも○○に○○をあげると」シリーズなんかの訳が、とても気にいっているからです。
エイモスさんは、動物園の飼育係といったところのようなのですが、単なる飼育係ではありません。
個性豊かな動物達の相手をすると言った方が相応しいのです。
ゾウとチェスしたり、サイにハンカチを貸してあげたり、ミミズクに本を読んだりと、一寸イメージできるから不思議です。
動物達は、エイモスさんが来るのを楽しみにしているのですが、ある日、エイモスさんが風邪をひいてしまいます。
そこで、動物達はバスに乗ってエイモスさんのお見舞いに行くのですが、およそあり得ない光景です。
全体を通してほのぼの感が良い感じで伝わってきます。
とくに、奥様が木版画と鉛筆で描く精緻な絵が、あり得ない話にリアリティを与える効果を醸し出しています。
淡い色合いも、絵に合っていると思います。
決して派手さはありませんが、聞き手に暖かさを伝える上質な絵本ではないでしょうか。